脱ステ脱保湿のアトピー治療でいい感じに治ってきた
どうもTAKUYAです。前回のアトピー治療の話からしばらく経ったので近況を報告したいと思う。
前回のあらすじ:
- 仕事のストレスが原因だと思っていたけどどうやら違う
- 本を読んで、自分は「ステロイド依存性皮膚症」である事を知る
- ステロイドが対症療法でしかないどころか、むしろ体の免疫を弱めていることが判明
- アトピーはそもそも自然に治る病気だから、何もしないのが一番
- 脱ステロイド・脱保湿の自然療法を始める
- 薬と保湿をやめたことによって起こるリバウンド症状がとても辛いが、がんばって耐える
- 藤澤重樹先生の生活指導に従って出来るだけ早く治るように努める
脱ステ脱保湿を始めてから2ヶ月弱が経った。 結論から言うと、辛いリバウンド症状のピークは越えた。 今は徐々に症状が治まりつつある状態。 倦怠感もほとんど無くなり、仕事への集中力も少しずつ戻ってきた。 何より寒気が無くなったので、クーラーの効いた電車や室内にいてもガタガタ震えなくて済むようになったのが嬉しい。
症状の変化の例
症状が悪化しているのか回復しているのかを客観的に評価できるように、数日ごとに各部位の写真を撮って記録した。 その結果、リバウンド症状とはどのように発生してどのように落ち着いていくのかが分かる貴重なデータが取れた。
ここでは顔を例にとって紹介したいと思う。恥ずかしいけど、誰かの参考になれば幸いだ。ちょいグロなので大丈夫な人だけ以下のリンクを開いてほしい。
各写真の下には、脱ステ脱保湿を始めてからの日数が示してある。
- 6〜8日目: 口の周りがとても荒れて口が開けないほどに痛くなった。ほとんど吸うようにしてご飯を食べていた。
- 10〜16日目: カサカサになり皮がめくれて白くなる症状が顔全体に広がる。これをフレーク現象という。16日目がピーク。先生は「いい感じだねぇ〜」と仰っていた。そう、これは治るためには必要不可欠な「過程」であり、悪化ではないのだ。見た目はひどいものだが、皮膚は必死に再生しようとしている証拠なのだ。喜ぶべき変化。
- 18〜28日目: フレークが徐々に減る
- 〜47日目: 赤みが少しずつおさまる。
そして現在、まだ口の周りに少しフレークが残って、痒みもあるが、プロトピック軟膏などの薬や保湿を一切しなくても肌の状態を保てるようになった。嬉しい。
人によっては腫れたりするみたいだけど自分は幸いそんなことは無かった。
顔は代謝速度が速いからなのか、一番最初に症状が落ち着いた。 まだ他の部位は炎症が残っている。でも滲出液はほぼ出なくなって乾いたし、あとは痒みに耐えつつゆっくり回復を待つのみだと思われる。
リバウンド症状の程度や長さは、ステロイドの強さや処方期間によるとされている。 先生によると、自分は治るのが結構早いらしい。 確かに、ネットの脱ステ体験ブログなどを読んでみると、ピークを越えるのに最低3ヶ月は要している。 おそらく、以降で書く生活改善施策を徹底してやったからだと思う。 ただ脱ステ脱保湿を闇雲にやっているだけでは、時間を無為に過ごすことになるから注意が必要。
リバウンド症状で自分のステロイドホルモンを蘇らせる
ここで、なぜリバウンド症状が起こるのか説明しておきたい。
ステロイドとはホルモンの一種で副腎または表皮細胞から分泌されるもの。 環境の変化に応じて必要な量を適切に分泌して体の免疫や血糖、血圧などのバランスを保っている。 ステロイド剤を皮膚に塗ると体内に吸収されて一ヶ月かけて体から抜けていく。毎日塗っていると常に体内にステロイド剤が体の中に溜まることになる。 すると、自分の本来のステロイドホルモンがさぼってしまって、自己調節力が衰える。
このような状態でステロイド剤をやめると、ステロイド剤が一ヶ月かけて徐々に抜けていく一方で、ホルモンの自己調節力が弱っているので当分の間ステロイド不足が続く。 それがリバウンド症状を引き起こす。
ステロイドホルモンはその状態の「間違い」に気づき、徐々に自己調節力を取り戻していく。 自然療法は、サボってしまったステロイドホルモンの本来の働きを取り戻す療法なのだ。 上記の例で紹介したように、多少時間はかかるものの、自分でステロイドを分泌できるようになったら、外用も内服もする必要はなくなる。
脱保湿も同じ原理で、外から保湿するもんだから本来の保湿能力がサボってしまう。 ただでさえ元から乾燥肌なのに、自分の保湿能力を甘やかすことによって事態をより悪化させているのだ。 こんな話がある。日本は高温多湿なのに対してヨーロッパはカラッとしているので、移住したばかりのころは肌がとても乾燥する。 でも保湿クリームなどに頼らずそのまま過ごしていると、肌が適応して潤ってくるのだという。 自分の本来の保湿能力を取り戻すために脱保湿が重要。
また、保湿することによってリバウンド症状を長引かせてしまう。 痒いけど、出来るだけ皮膚を乾燥させて代謝を促進させる必要がある。 見た目が悪いからといってマスクや手袋などで隠すと反って保湿になってしまうから、何もつけないで堂々と外に出よう。 あなたはあなたのままで充分素晴らしい存在なのだから何も隠す必要はない。
リバウンド症状を乗り越えるための生活習慣
藤澤先生の生活指導は、辛いリバウンド症状をできるだけ軽くして、早く終わらせる効果がある。 もらった資料や指示を要約してここに紹介したい。
糖質制限とケトン体生活で抗炎症化
一日の摂取糖質量を 40g 以下に抑える。かなり厳しめの糖質制限だが、徹底しなければならない。 お米、小麦をはじめ、砂糖、イモ類など糖質の多い食べ物を取り除いていく。 できればスーパーの惣菜などは買わずに自炊する。 おいしく制限するにはMEC食がおすすめ。MEC食とは、ミート・エッグ・チーズを中心とした食生活のことで、渡辺信幸医師が提唱している。 いくつか書籍が出ているのですぐに始められる。
肉食やせ! ―肉、卵、チーズをたっぷり食べるMEC食レシピ111
- 作者: 渡辺信幸
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2015/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なぜ糖質制限が大事なのかというと、糖質を取ることによる血糖値スパイクが炎症を引き起こすからだ。 つまり、糖質を摂ると血糖値が急激に上がり、それを抑えるために膵臓からインシュリンが過剰分泌される。 すると体内に大量に活性酸素(細菌感染などによって起こる炎症やアレルギー性炎症反応を促進する酸化力のある酸素)が産生されて、様々な血管へのダメージを与える。 糖質制限によってこの血糖値スパイクによる活性酸素の産生を軽減させる。
人の主なエネルギー源は糖だけではなく、脂質由来のケトン体というものがある。 例えば赤ちゃんはケトン体を主なエネルギー源として生きている。 人類が農耕を始める以前、狩猟採集をしていた時代はこのケトン体を主なエネルギーとして生きてきたと言われている。 ケトン体は、ブドウ糖と同じく血液脳関門を通過して、副作用や毒性がなく、抗炎症、抗老化、抗糖化、抗酸化、抗がん化作用がある。 心筋や神経が保護され、抗不安作用で精神が安定する。
ケトン体についての詳しい話は以下の書籍で学ぶことが出来る。
ケトン体が人類を救う?糖質制限でなぜ健康になるのか? (光文社新書)
- 作者: 宗田哲男
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/12/18
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糖質制限によって体内のケトン体を増やして、活性酸素を減らして抗炎症作用を享受する。 これが辛いリバウンド症状を和らげてくれるというわけだ。
糖質制限(ケトン体効果)をナメてはいけない。 別の患者さんの話で、いい感じに症状が抑えられてきた時に、間違えて甘栗を大量に食べてしまったらしい。 すると数日後に症状がぶり返して、大変なことになったそうだ。 それぐらい効果がでかい。
運動!運動!運動!
汗をかいてとにかく新陳代謝を上げる。 ただでさえ運動不足で鈍った体を鍛えて、基礎代謝を上げる。 そうすれば皮膚の新陳代謝スピードも上がり、回復が早まる。
自分は出来る限り毎日6キロジョギングして、3キロウォーキングしている。 雨で外に出られない時は、座布団の上で足踏みを30分間している。 EDMとか適当に流しながらやるとテンションが上がって続けやすい。
体をあまり洗わない
毎日お風呂に入り、体をゴシゴシ洗うのは良くない。 身体を守ってくれる常在細菌を洗い流してしまうからだ。 ただでさえ乾燥肌なアトピー患者は、そもそも汗をかいたってすぐに乾いてサラサラになるし、別に臭ったりもしない。汚れにくい体質なのだ。 自分の汗・垢・皮脂をもっと大切にして、皮膚バリアを保つ必要がある。
チベットの人は一ヶ月に一度しか風呂に入らないが、アトピーはゼロだそうだ。 毎日風呂に入らなければならないというのは、ただの先入観にすぎない。
先生はタモリ式入浴法を推奨している:
この入浴法は、ただ湯船にぬるめのお湯をためて10分間半身浴するだけ、というもの。 それだけで汚れの80%は取れるとタモリ氏は言っていて、医学的にも理にかなっていると評価されているらしい。
自分は結局症状がひどい時は一切風呂に入らずに過ごした。 流石にジョギングで汗をかいて気持ち悪いと感じた時はシャワーでサッと流すだけにとどめた。 それだけで十分スッキリしたし、体臭も気にならなかった。
とにかく自分の皮膚バリアを取り戻すことに集中することが大事。
自律神経を整える
イライラしたり焦ったり緊張したり、何かしらストレスを感じると痒くなる経験がある人は多いだろう。 これは、ストレスを感じると自律神経の交感神経が優位に傾くため。 自律神経が体に及ぼす影響はとても大きく、現代人は何かと交感神経に過剰に傾きすぎる傾向がある。 それがどのように痒みにつながるかというと、次の通り。
白血球は、血液中をめぐって異物から体を守っているが、細かく分類すると 顆粒球、リンパ球、マクロファージの3つの免疫細胞がある。 このうち、顆粒球は異物を取り込み、みずからが持つ分解酵素と活性酸素によって処理する。 顆粒球の数と体内に侵入してくる細菌のバランスがいいときは何も問題はないが、あまり細菌がないのに、交感神経が過剰に優位になることで顆粒球が増えすぎてしまうと、健康維持に必要な常在菌まで殺してしまい、かえって免疫力を下げることになる。 また、使われない顆粒球が残ってしまうことも問題。 顆粒球の寿命は二~三日と短いうえ、顆粒球は死ぬときに、持っていた「活性酸素」をばらまいて細胞を傷つけてしまうから。
以上の理由から、交感神経と副交感神経のバランスを保つことが大事。 その最も効果的な方法は、焦らずおちついて「ゆっくり動作」を心がけること。 時間にも余裕を持って行動して、食事はゆっくりよく噛んで摂る。 呼吸は深くゆっくりと。猫背をやめて姿勢を正すだけで胸が開いて呼吸が深くなる。 そして早寝早起きのリズムを保つ。
自律神経に関する体への影響や、どうすれば副交感神経を優位に保てるかは、小林弘幸氏の以下の書籍が参考になった:
- 作者: 小林弘幸
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2011/04/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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普通に健康になるという事
リバウンド症状はとにかく辛い。生きた心地がしない。 孤独だし、周りの理解やサポートが必要。
- 強い倦怠感の中、立ち上がってスーパーに買物に行くことができたなら、最大限に自分を褒めてやろう。
- 汗をかくと体中が痒くなるけど、ジョギングに行けたら、「おつかれ自分!」と労ってやろう。
- フレークが発生したら「自分の体が治ろうとしている!」と前向きにとらえて、フレークが収まってきたら「自分の体すごい!」と褒めてやろう。
痒みは大人であっても我慢できるものではない。藤澤先生は掻くなと言わない。 何度も掻き壊してしまっても、皮膚は不思議と徐々に強くなっていく。
そうやって少しずつ変化する体と向き合っていくうちに、ピークは乗り越えられる。
自分もまだ普通の生活が送れるようになった訳ではないけど、ゴールが見えてきたのでかなり気が楽になった。 久々に母親と電話したら、「あんた、明るくなったな」と言われた。 たぶん毎日運動しているお陰だと思う。 7kgも痩せて体脂肪率は5%。もともと痩せ型だったので、学生時代の体型に戻った。 この治療を通じて、アトピーだけでなく精神も肉体も健康に生まれ変わっているのを感じている。
夜ぐっすり寝て、朝ちゃんと起きられる事。 そんな普通の健康な生活が、当たり前じゃないという事。 俺は取り戻すぞ。