丁寧に手を抜く

頑張らない努力

アプリ開発者はツアー無しで海外旅行するといいよ、という話

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フランスとドイツを繋ぐ高速鉄道

どうもTAKUYAです。

新婚旅行から無事帰ってきた。充実した2週間だった。
旅をしながら、「海外旅行って課題解決の能力を鍛えるのに良いよなぁ」と思ったので、その考えを述べたいと思う。
自分のブログ読者はアプリ開発界隈の人が多いと思うので、海外旅行をモノづくり論と紐付けてみる。

今回は移動の多い旅だった。
パリからスタートして、高速列車でドイツに入り、ノイシュバンシュタイン城を目指して古都をめぐり、ベルリンに滞在して飛行機でパリに戻るというコース。
パリスタート&フィニッシュの理由は、航空券がベルリンよりとても安かったから。
理由はよく分からない。
旅程は全て自分たちで組み、ホテルをはじめ飛行機や列車のチケットも事前にネットで個別に手配した。
今回は妻が兼ねてから見てみたいと言っていたノイシュバンシュタイン城を訪れるという明確なゴールがあった。
それに向けて行程を考えればいいので、割とすんなり決まった。

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ノイシュバンシュタイン城。あいにくの雨空だった

ネットの業界にいる事もあってか、自分の周りではこうやってツアーに頼らずに海外旅行するのがあたりまえの印象がある。
ある友人はとにかく訪れた国を一周巡ることに情熱を燃やしていたり、
ある友人はアパルトマンを借りて1ヶ月住んでみたり、
ふらふらと世界一周してみたり。

一方で、そのような旅行の仕方がありえないという考えを持つ人も一定数いる。
例えば、言葉も通じない場所でもし何かあったら対処できないという意見。
予期せぬ事態が起きた時にどうすれば良いか分からないから、そんな危険な旅はしたくない。
ツアーならその心配が無い。
まぁ、その言い分も理解できなくもない。

それに対して、自分や前述のような友人たちは正反対の考え方を持っていると思う。
例えば言語の問題。
言葉が通じない時って、相手の表情を読んだり、身振り手振りを加えたり筆談したりといった工夫が求められる。
そうしてコミュニケーションが成立した時、気持ち良い達成感を感じる。
現地の人の発音や振る舞いを観察して真似していくうちに、徐々にスムーズに買い物や食事ができるようになるとすごく嬉しい。 今回ドイツで「Die Rechnung, bitte. (伝票お願いします)」が初めて通じた時の喜びは今でも覚えている。

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カフェでの注文も最初は慣れないが楽しい。ベルリンで見つけてすっかり虜になったTHE BARNのコーヒー

ツアーなし海外旅行では、予期せぬ事態はつきものだ。
今回の旅行だと、DB(ドイツバーン)で事前に買っていたチケットの列車が当日無くなっていた。
いくら探しても案内板に表示されない。
刻々と迫る時間に焦りながら、駅員に聞いても英語がうまく通じなかったり ¯\_(ツ)_/¯ とお手上げされたりした。
めげずに別の駅員にしつこく思いつく限りの表現で質問したら、別の列車での経路を印刷してくれた。
そこで初めてチケットは別に予約席ではないので、目的地に着ければどの列車に乗っても構わないという事に気づいた。
DBはダイヤ変更が激しいという噂は本当だったようだ。
日本の新幹線のような懇切丁寧な案内など皆無だった。
二回目に同じ事が起こった際は指定席だったので、その場で予約を変更して事なきを得た。

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ダイヤ変更が激しいDeutsche Bahn

確かに、こういう不測の事態が怖くて自分では対処できないと思う人がいるのは不思議ではない。
自分でも実際こういう事態に直面した時の焦りや不安は半端ない。
諦めれば旅行は台無しになる。
しかしこれまでのところ、どうにもならなかった経験は一度も無い。
なんとかなるのだ。
そしてそれを乗り越えるたびに、「人生はなんとかなる」という教訓が刻まれていく。
すると妙に落ち着いてきて、自分を客観的に見れるようになる。

ところで、人の知性を判断する方法として、その対象となる人を「カオス」にぶち込むという手法がある:

この知性の計測手法は、相手が持つ知識や経験が通用しないようなカオスの状況に入れて、どういう行動を取るか観察するというものだ。
そのカオスな状況とは例えば:

  1. 物事が曖昧になった時
  2. マニュアルにないことが起きた時
  3. 場が混乱している時

などが挙げられる。
つまり例外への対処が上手い人ほど知性が高いと判断できるという話。
この研究では820人の男女を対象に検証して、上記のような複雑な状況でもうまく対応できた人ほどIQテストのスコアが高いという事が分かった。

自分の経験からして、このカオスな状況を効率的に経験できるのはツアー無し海外旅行だ。
そしてカオスを沢山乗り越えるほど、物事に冷静に対応できる能力が向上する。

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ホテルの螺旋階段

この「カオス対応能力」は、アプリ開発において不可欠と言っても過言ではない。
なぜなら、アプリ開発をしているとカオスの事態を頻繁に体験するからだ。
例えば、アイデアを人に話した時の反応や、実際に作り始めて発見する技術的な課題やビジネスの課題は、基本的にあらかじめ予測できない。
あるいはサーバの障害が発生した時なんかは、まさに駅で乗る予定の列車が見つからない事態と似ている。
ユーザから予測もしない重大なバグ報告を受けるなんて事もある。
アプリを成功に導くためには、人々には様々な考え方や価値観があることを理解し受け入れつつ、不測の事態に対して常に落ち着いて臨機応変に対応する知性が求められる。
ツアー無し海外旅行は、その知性を鍛えるのにうってつけだと思う。

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この話はツアーを利用する人を否定するものではない。
ツアーにも特有の良さがあるし、なにより楽しくなかったら意味がない。
知性を鍛えたいならツアー無し海外旅行をおすすめするよ、という話だ。
逆に言えば、既に当たり前に自分で海外旅行をしている人は、こういう知性が備わっているのではないか。
あるいは、起業とかに向いているのかもね。
人材採用とかやっている人は、海外旅行でのトラブル経験とか聞いてみると面白いかもしれない。

というわけで、アプリ開発業界で働いていていつもツアーで旅行している人は、一度ツアー無しを検討してみてはいかが。

以下の書籍は3年前に初めて一人でパリに旅行する時に読んだ本。

新しい海外一人旅行術(上)出発準備編

新しい海外一人旅行術(上)出発準備編

新しい海外一人旅行術(下)現地編

新しい海外一人旅行術(下)現地編

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Bon Voyage!